海外研修
場所:米国研修
期間:2014.9.14-28
道場2期生6名と教職員で、2014年9月14日~28日にかけて、米国研修を行いました。UC Berkeley 校、Texas A&M 大学でのテーマ別発表や学生交流、日本大使館、世界銀行等の国際機関訪問、そしてDisaster Cityでの原子力災害対応実習等でのさまざまな経験は、今後グローバルに活躍してゆく為の道筋を一歩進めるものとなりました。
UC Berkeley 校 (San Francisco)
UC Berkeley 校原子力工学科の学生と、事前に学生同士で連絡を取り合い自ら組み立てたスケジュールで、テーマ別発表やグループディスカッションを行いました。滞在場所は、Berkeley校のキャンパス内で、主に大学関係者が利用するThe Faculty Clubでした。元宿舎だった歴史的な建築物は学内の中心に位置しており、野生のリスが走り回る林やのびやかな芝生のあるキャンパスの独特な雰囲気に触れることが出来ました。
Idaho国立研究所 / Idaho 大学 (Idaho Falls)
Idahoでは、1949年国立原子炉試験場として設立された歴史あるIdaho国立研究所 (Idaho National Laboratory: INL) を訪問しました。材料照射試験炉として軽水炉より高い中性子束の照射場を提供するATR (Advanced Test Reactor)、世界初の原子力発電を行った炉EBR-1、国際原子力機関の査察官に向けた検知装置、実際のプルトニウムを用いた計量測定、設計情報検認のための3Dレーザースキャニング装置など、様々な保障措置・セキュリティ措置を見学・体験ができました。INTEC Cask Storage Areaでは、TMI-2事故後に溶融燃料を含む炉心物質が陸路で約2,500キロもの距離を鉄道で運んで保管されている乾式貯蔵施設見学し、TEPCO福島第一原子力発電所事故に伴い廃炉処置が進んでいる日本の今後の方向性を見据えて大きな関心を引いていました。
在米アメリカ合衆国日本大使館 (Washington DC)
次田参事官、豊田一等書記官より米国における日本大使館の役割や機能、原子力を中心としたエネルギー全般の話をして頂きました。また、泉特命全権公使が原子力を学ぶ学生達へ激励に来て下さいました。情報を正確に捉えて分析をした上で伝達をする重要性、視野の広さを持つこと、柔軟性や時に強硬さも外交には必要だということを感じ、外交の最前線で活躍されている方々との面談では、高度な交渉能力を持つグローバルリーダーを目指す彼らの大きな指針となりました。
世界銀行 (Washington DC)
“世界の貧困を撲滅し、繁栄の共有を促進する” という目標を掲げて設立された世界銀行のしくみと働きについてAngelica Silvero氏より説明を受けました。
その後、実際にアフリカ地域をご担当されているAtsumasa Sakai氏より、世界の貧困の撲滅のための目標達成に不可避なアフリカの開発についての取り組みについて説明していただきました。エネルギーと環境、貧困、教育、医療、紛争等、世界には、まだまだ解決しなければならない多くの課題があることを改めて学びました。
意見交換会では、Washington DC在住の東工大卒業生 (蔵前会) を中心に、米国在住の原子力関係者が、学生の為に集まって下さり、国際社会での厳しさや現在に至るまでのプロセス等、様々なお話を伺うことが出来ました。出席者の方々から原子力を学ぶ学生達に激励の言葉を頂き、諸先輩方との意見交換は刺激のある大変有意義な会でした。
Texas A&M 大学 (College Station)
UC Berkeley 校の時と同様に学生同士の事前に組んだスケジュールに則り、互いの発表の後グループディスカッション、グループ発表を行いました。道場学生による “Recovery of Fukushima” に関する講演 (Texas A&M 大学の核物質管理学会の学生部の要請により企画) は、多くの学生が参加し、講演後も質問や議論が飛び交っていました。
原子力災害対応実習 (Disaster City)
Texas A&M 大学に隣接するDisaster Cityは、世界的に有名なBrayton Fire Training Fieldに隣接して位置、災害や残骸の様々なレベルをシミュレーションするために設計されたフルスケール構造を備え、災害時の包括的な緊急対応訓練や実習を行う施設です。今回の原子力災害対応実習では、地震発生による工業団地内の仮想の放射線源事故を想定し、崩壊した建築物の瓦礫の中に潜って安全に放射性物質を回収するというミッションのもとに、本物さながらの事故現場のような施設で行われました。
Texas A&M 大学では、2月にお台場で開催した国際セミナーで来日したTexas A&M 大学側の学生や教職員のサポートもあり、本当に助かりました。友情は、ますます深まり再会を誓って2週間の米国研修は終わりました。