平成28年度 韓国研修 報告
期間: 2016年4月28日 ~ 5月7日
道場学生8名と教職員で2016年4月28日~5月7日に韓国研修を行いました。
KORAD(Korea Radioactive Waste Agency) 中·低レベル放射性廃棄物処分場
KORADは、2014年6月に10万ドラム規模の洞窟処分方式で落成(第一段階)した中・低レベル放射性廃棄物処分場です。放射線廃棄処分場は世界共通の課題であり、技術の高さはもちろん、安全性と信頼性が最重要となります。ここで放射性廃棄物検査施設と地下処分トンネル見学をし、多くを学びました。
Wolsong (月城) 原子力発電所
日本には導入されていないタイプの原子炉であるCANDU炉とPWRを持つWolsong 原子力発電所では、昨今の北朝鮮の挑発的な動きの影響もあり一層厳しい警備体制が敷かれる中で見学が実施されました。日本とは違う警備体制や自然災害に対しての備え等、色々な違いを体感しました。
KAIST (Korea Atomic Energy Research Institute: 韓国科学技術院)
事前に学生代表が連絡を取り合い交流内容やディスカッションテーマを決めていたこともあり、現地では日韓混成4グループに分かれて討議と発表が行われました。留学生も含め、各国の考え方の相違で意見の統一が取れずに苦労しているグループもありましたが、協力しながら発表に至りました。その後はスポーツ大会で一緒に汗を流し、研究室の見学をしたりと、KAIST での2日間は両学生にとって一生の思い出と友情をはぐくむことになりました。
KINAC (Korea Institute of Nuclear Nonproliferation and Control: 韓国原子力統制技術院)
ここで核セキュリティ施設を見学した後、物理的防護 (Physical Protection) の実習を行いました。センサーに感知する様々なケースを自ら考え、実施し、測定を行うことでセキュリティについて机上の学習では得られない実際のケースを体感することができました。
KAERI (Korea Atomic Energy Research Institute: 韓国原子力研究院)
①PRIDE (Pyroprocess Integrated Inactive Demonstration Facility)
PRIDEは、使用済み核燃料の再処理のために溶融塩を用いた乾式再処理技術の模擬試験をすることができる研究施設です。ここでは米韓共同研究の下、実際の使用済み核燃料を用いて実用化を進める技術開発計画について伺いました。今回の訪問のために東北大学に在籍していた研究員の方が日本語で案内してくださいました。
② KURT (KAERI Underground Research Tunnel; 地下処分研究施設)
放射性廃棄物処分のために研究所内の裏山に造られた総延長255 mの地下トンネルは、進入トンネル180 mと研究モジュール75 mで構成されています。地表から深さ90 mの花崗岩盤内に位置する研究モジュールを実際に歩き、韓国型処分システムの技術的妥当性と安全性および適合性を実験的に検証する基礎研究施設の説明を受けました。
③ HANARO 冷中性子研究施設
HANAROは広大な室内実験施設内で多目的研究を行っており、中性子を用いた基礎科学研究、核燃料および原子炉材料の開発、医療用・工業用放射性同位元素の生産と利用などの研究に寄与しています。韓国の国情や考え方を反映した実験や設備に学生たちは大きな関心を寄せていました。日本の原子力事情や研究状況を鑑み、考察を深める貴重な機会となりました。
Hanyang 大学
KAISTの時と同様、事前にテーマを決めグループディスカッションを経て発表をするという形で始まった学生交流は、入念な準備の甲斐あり充実したものとなりました。言葉の壁もある中で相手の考えを理解しながら意見をまとめる作業は大変なことです。しかし相手を尊重しつつ自らを理解してもらう過程を通し、絆を深めていくことに繋がります。一日を終えて夕食をとる頃には、国も言葉も関係なく同じ原子力を学ぶ若者として将来の再会を誓いあうまでになりました。
最後に、韓国研修でお世話になった韓国の皆さんの暖かおもてなしと笑顔に、この場を借りて心からお礼を申し上げたいと思います。감사했습니다 ! (ありがとうございました !)