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平成27年3月博士課程修了予定者論文発表会

平成27年1月5日(月) 会場: 原子炉工学研究所 北1号館1階会議室

開始時刻/
終了時刻
発表者氏名 指導教員 論  文  題  目
9:00
11:00
太田 宏一 小原 徹
井頭政之
マイナーアクチニドリサイクル高速炉金属燃料の開発
 金属燃料高速炉サイクルによるマイナーアクチニド(MA)リサイクルの成立性を確認するため、MA添加金属燃料の照射試験および照射後試験を実施した。また、MAをリサイクルする超高燃焼度金属燃料炉心の設計を行った。
 MAおよび同時回収される希土類元素(RE)を添加したU-Pu-Zr合金の特性評価に関する先行試験によって、照射燃料として適用可能と判断された3種類のMA含有合金:U-19Pu-10Zr-2MA-2RE、U-19Pu-10Zr-5MA-5RE、U-19Pu-10Zr-5MAおよび通常の三元合金:U-19Pu-10Zrを装荷した金属燃料ピンを製造し、高速炉フェニックスにおいて、低・中・高燃焼度を達成する照射試験を行った。照射後の非破壊検査の結果、燃料合金の照射スエリング挙動がMAやRE添加によってほとんど変化しないことが確認された。また、低燃焼度または中燃焼度燃料のFPガス放出や母相成分の再分布挙動も通常の三元燃料と同様であり、5wt%以下のMAやREの添加によって有意な影響を受けないことが明らかとなった。一方でMA やREを含む析出物が照射成長する様子が確認された。照射後観察によって燃料溶融や破損の痕跡は見られず、燃料健全性が確保されていることが確認できた。さらに低燃焼度および中燃焼度燃料の化学分析結果からMAの核変換特性を評価し、燃焼解析値と比較した結果、金属燃料によるMA核変換が予測通りに進んでいることが確認できた。
以上の結果から、低~中燃焼度の範囲で、金属燃料高速炉サイクルによるMAリサイクル概念の成立性が確認され、金属燃料によるMA変換特性を実証することができた。
 さらに、MA含有燃料による炉心燃焼特性の向上を利用した超高燃焼度金属燃料および炉心の設計を行ない、MAリサイクルと超高燃焼度化を両立する高性能炉心が成立し得ることを明らかにした。

平成27年1月5日(月) 会場: 原子炉工学研究所 北1号館1階会議室

開始時刻/
終了時刻
発表者氏名 指導教員 論  文  題  目
11:00
13:00
菊池 遼 小原 徹
井頭政之
複数の燃料溶液体系での臨界事故における積分出力上昇効果に関する研究
 今日までの臨界事故模擬実験及び解析は、単一燃料体系に対して行なわれてきたが、複数の燃料が同一空間内に存在している際の中性子相互作用を考慮した過渡現象の実験や解析は行なわれていない。本研究では複数の溶液燃料容器が存在する体系に対して超臨界過渡解析を行ない、単一燃料容器体系での解析結果を基にして総積分出力がどのように変化するか評価することを目的としている。この目的のため、燃料間に生じる中性子相互作用を考慮した超臨界過渡解析を行なった。
 上記作用及び放射線分解ガスボイドによるフィードバック効果の有無による過渡解析を行ない、その結果溶液燃料組成、容器形状及び容器配置の違いにより総積分出力に差異が生じることが明らかとなった。さらに単一体系と複数体系での積分出力を比較して得られた積分出力増加割合を用いることで、単一体系についての知見から相対的に複数体系の総積分出力を評価することが可能であることを明らかにした。

平成27年1月5日(月) 会場: 原子炉工学研究所 北1号館1階会議室

開始時刻/
終了時刻
発表者氏名 指導教員 論  文  題  目
17:00
19:00
大川 あおい 松本義久
小栗慶之
DNA二重鎖切断修復能の年齢依存性に関する研究
 広島・長崎原爆や放射線診断・治療で放射線被ばくした小児の疫学調査や動物実験などで、小児の放射線発がんリスクが高いことが報告されているが、そのメカニズムは明らかになっていない。DNA二重鎖切断(DSB)は放射線によるさまざまなDNA損傷の中で最も重篤で、放射線発がんに最も密接に関わると考えられている。DSBの修復には主に相同組換え(HR)、非相同末端結合(NHEJ)の2つの経路がある。本研究ではNHEJに関与するタンパク質に着目し、これらのタンパク質の発現量が年齢、臓器によってどのように異なるか、マウスを用いて検討した。C57BL6系統とC3H系統を交雑した第一世代(B6C3F1)の1週齢(ヒトの幼児に相当)及び7週齢(ヒトの成人に相当)の雌雄マウスから、さまざまな臓器を採取し、ウェスタン・ブロット法によってタンパク質発現量を調べた。その結果、NHEJにおいてDSBのセンサーの役目を果たすDNA-PKcsについては、1週齢マウスの大脳と小脳において7週齢マウスよりも高い発現が認められた。一方、NHEJにおいてDSBの結合を行うDNA ligase IV複合体の調節因子の1つであるXLFについては、逆に、7週齢マウスの大脳、小脳において1週齢マウスよりも高い発現が認められた。DNA-PKcsはNHEJに加え、アポトーシスなどさまざまな放射線細胞応答の制御に関わる。本研究の結果から、脳の発達期において、DNA-PKcsによるDSBの認識とそれに対するさまざまな細胞応答が重要であることが示唆された。

平成27年1月6日(火) 会場: 原子炉工学研究所 北1号館1階会議室

開始時刻/
終了時刻
発表者氏名 指導教員 論  文  題  目
9:00
11:00

Odtsetseg
Magmarjav
(国際大学院
プログラムA)

加藤之貴
小原 徹
Reaction Performance Enhancement of Chemical Heat Storage Material by Lithium Bromide for Magnesium Oxide/Water Chemical Heat Pump
(酸化マグネシウム/水系ケミカルヒートポンプ向け化学蓄熱材料の臭化リチウムによる反応促進)
 This study aimed to develop a new chemical heat storage material with high reaction performance used for a magnesium/oxide water chemical heat pump.  Accordingly, a new composite, named EML, was obtained by mixing pure Mg(OH)2 with expanded graphite (EG) and lithium bromide (LiBr), which offer higher thermal conductivity and reactivity, respectively.  The feasibility of the EML composite was investigated experimentally based on thermogravimetic method, and further, dehydration and hydration profiles of the EML composite at a various temperature were measured, and kinetic analysis was performed.  It was demonstrated that LiBr was successfully employed as a reactivity enhancer.  The experimental results showed that the reaction performances of the EML composite were higher by comparison with the pure Mg(OH)2 powder and therefore, it was expected to respond promptly to load variations and to exchange large quantities of heat in a short time.  Thus, the potential use of the EML composite for load leveling of a small nuclear reactor (10 MWt) in a district heating system was evaluated based on the experimental results and the required amount of the EML composite was estimated.

平成27年1月6日(火) 会場: 原子炉工学研究所 北1号館1階会議室

開始時刻/
終了時刻
発表者氏名 指導教員 論  文  題  目
11:00
13:00
朝比 祐一 筒井広明
赤塚  洋
プラズマ乱流による電子熱輸送のジャイロ運動論的シミュレーション研究
 磁場閉じ込め核融合プラズマ中では、圧力勾配が駆動する乱流(以下プラズマ乱流)によって熱および粒子の輸送が増大し、閉じ込めが劣化する。そのためプラズマ乱流による輸送の理解は磁場閉じ込め核融合プラズマ研究における中心課題の一つとなっている。核融合反応は高温のイオンを前提とするため、従来プラズマ乱流輸送研究は、イオン熱輸送に関するものが中心であったが、国際熱核融合実験炉 (ITER)を含む核燃焼プラズマを扱う装置においては電子の熱輸送の理解が重要となる。これは核燃焼プラズマにおいては高速α粒子による電子加熱によって高温プラズマが維持されるためである。従来の研究では電子熱輸送は電子温度勾配によって駆動される乱流によって生じるとされ、電子温度勾配駆動乱流の性質が調べられてきた。これらプラズマ乱流の理論研究においては、実空間3次元、速度空間2次元の位相空間においてプラズマ乱流の挙動を記述するジャイロ運動論に基づくシミュレーションが重要な役割を果たしてきたが、その膨大な計算量から通常は扱うスケールに応じた近似が用いられる。実際、電子熱輸送においては、短波長の電子温度勾配乱流が熱輸送を引き起こすと近似され、それより長波長の不安定性が駆動する乱流の影響は無視されてきた。本研究では、電子熱輸送においては短波長の電子温度勾配乱流だけなく、長波長の捕捉電子モードが駆動する乱流が支配的な役割を果たすことを明らかとした。従来の捕捉電子モード研究では、粒子輸送への影響が中心に調べられており、電子熱輸送への影響はあまり調べられてこなかった。しかし本研究により、長波長の捕捉電子モードはゾーナル流と呼ばれる層流的な秩序構造の形成を介して短波長の電子温度勾配乱流を抑制し、電子熱輸送を低減することが明らかとなった。

平成27年1月6日(火) 会場: 原子炉工学研究所 北1号館1階会議室

開始時刻/
終了時刻
発表者氏名 指導教員 論  文  題  目
13:00
15:00

DUONG Thanh Tung
(国際大学院
プログラムC)

木倉宏成
赤塚  洋
Study on Joule-heating flow in a cubic cavity
(立方キャビティー内のジュール加熱流れに関する研究 )
 The High Level Radioactive Wastes (HLWs) are vitrified in a glass melter. However, sometimes the glass melter operation is not stable due to abnormal phenomena. If this happens, the glass melter has to be shut down. Understanding the flow behavior in glass melter is important to improve the applicability of the melter operation. In this study, the flow behavior induced by Joule-heating was investigated both experimentally and numerically. Experimental observation of molten glass is challenging due to high temperature and opaqueness of the glass. Therefore, at first, Joule-heating induced flow in a cubic cavity with glycerin was investigated both qualitatively and quantitatively. Then, simulation of molten glass flow was conducted. The results show that electromagnetic field should be considered while simulating the molten glass in the glass melter.

平成27年1月6日(火) 会場: 原子炉工学研究所 北1号館1階会議室

開始時刻/
終了時刻
発表者氏名 指導教員 論  文  題  目
15:00
17:00
井原 智則 木倉 宏成
飯尾 俊二
パルス超音波を用いた溶融ガラス流動モニタリングに関する研究
 高レベル放射性廃液のガラス固化工程では,白金族元素などの沈降挙動等がガラス溶融炉の運転に影響を及ぼすことが指摘されており,流動モニタリング手法の開発が求められている.そこで本論文では,パルス超音波を用いた溶融ガラス中の流動計測システムの開発と検証を行った.まず,溶融ガラスの高粘度に起因する低速流動および高音響減衰率に対応した流速分布算出アルゴリズムを提案し,その検証と計測システムへの実装を行った.さらに,溶融ガラス内へ超音波を送受信するための導波棒システムの開発を行うとともに,開発した両システムを組み合わせ,溶融ガラス中の音響特性の取得と流動計測を行い,溶融ガラス流動モニタリングの有効性を示した.

平成27年1月6日(火) 会場: 原子炉工学研究所 北1号館1階会議室

開始時刻/
終了時刻
発表者氏名 指導教員 論  文  題  目
17:00
19:00
Rujira Wanotayan
(国際大学院
プログラムA)
松本義久
赤塚 洋
Function of XRCC4 extremely C-terminal (XECT) domain in the regulation of DNA double-strand break repair
(XRCC4 C末端領域のDNA二重鎖切断修復における役割)
 DNA double-strand breaks (DSBs) are the most lethal to the cells. Two major DNA DSBs repair pathways employed by mammalian cells are homologous recombination (HR) and nonhomologous end joining (NHEJ) pathway. Defective repair of DSBs can lead to increased radiosensitivity and elevated risk of carcinogenesis. This study focused on the extremely C-terminal region of XRCC4 named “XECT domain”. It is generally thought that the 200 amino acids in the N-terminal region would suffice XRCC4 function. However, the function of XECT domain, bearing multiple phosphorylation sites by DNA-PK is still unknown. The aim of this study is to elucidate the significance of XECT domain in DNA DSB repair through NHEJ pathway by the systematically generation and analyses of these XECT mutants.

 

※ <参考> 22条適用者 論文発表会

平成27年1月5日(月) 会場: 原子炉工学研究所 北1号館1階会議室

開始時刻/
終了時刻
発表者氏名 指導教員 論  文  題  目
15:00
11:00

馬野 琢也(22条適用)

小原 徹 軽水炉格子体系への最良代表性因子法の適用に関する研究

https://www.ne.titech.ac.jp/Japanese/Events/doctor22.html