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平成22年3月博士課程修了予定者論文発表会

1月5日(火)  会場: 原子炉工学研究所 北2号館 6階会議室

開始時刻/
終了時刻
発表者氏名 指導教員 論  文  題  目
15:00
17:00
龍崎 奏 尾上 順
赤塚 洋
分子ナノ集積構造を基盤とする有機薄膜太陽電池に関する研究
 有機薄膜太陽電池の高効率化に関する研究は2004年以降大きな進展がない。本研究は、高効率化の為の新たな突破口を見出すことを目的に、有機膜の構造および界面が光電変換に与える影響や未解明である開放電圧の起源について調べた。その結果、有機膜の結晶性と分子配向を制御することで、代表的な有機薄膜太陽電池の量子効率を上回る素子の作製に成功した。また、結晶粒界による励起子・キャリアの散乱および結晶化による分子間励起子発生の増加が、エネルギー変換の高効率化に重要な役割を果たすことを見出した。さらに、高効率に繋がる高い開放電圧を得るためには光照射下における素子内の電子状態の解明が重要であることを見出した。

 

1月6日(水)  会場: 原子炉工学研究所 北2号館 6階会議室

開始時刻/
終了時刻
発表者氏名 指導教員 論  文  題  目
10:00
12:00
小川 慧 青木 尊之
二ノ方 壽
計算力学におけるGPUを用いた超多スレッド計算手法の開発
 汎用計算可能なGPU(Graphics Processing Unit) を用いた高性能計算による計算力学の手法を開発する。GPUでは、計算を超多スレッドで実行することにより効率を飛躍的に向上させることができる。非圧縮性流体解析において、直交格子に基づいた有限差分法をNavier-Stokes方程式を適用し、MAC法を実装するための手法を開発し、詳細な実行性能を検証する。また、材料力学におけるフェーズフィールドモデルを用いた組織成長解析に対し、複数GPUを用いる計算を行うためにGPU間通信を隠ぺいする手法を導入し、大規模GPUクラスター上でGPU-CPU間通信およびノード間通信の詳細を調べ、GPU数に対するスケーラビリティーを明らかにする。

 

1月6日(水)  会場: 原子炉工学研究所 北2号館 6階会議室

開始時刻/
終了時刻
発表者氏名 指導教員 論  文  題  目
18:00
20:00
Kamdar Radhika 松本義久
小栗慶之
Molecular mechanisms of the assembly of non-homologous end joining protein complex at DNA double-strand breaks.
 DNA二重鎖切断は放射線によって生じるさまざまなDNA損傷の中で最も重篤であり、その生物効果に最も深く関わると考えられている。DNA二重鎖切断は主として、相同組換えあるいは非相同末端結合(non-homologous end-joining、以下NHEJ)によって修復される。NHEJにおいては、DNA二重鎖切断を認識するDNA-PK複合体とこれを結合するXRCC4-DNA ligase IV複合体が中心的な役割を果たす。しかし、これらのタンパク質がどのようにしてDNA二重鎖切断部位に動員されるかについては不明な部分が多い。本研究では、界面活性化剤を用いた生化学的分画法により、クロマチンDNAに結合したXRCC4と結合していないXRCC4を識別する方法を確立した。更に、この方法を用いて、XRCC4がクロマチンDNAに結合するメカニズムを解析した。

 

1月8日(金)  会場: 原子炉工学研究所 北1号館 1階会議室

開始時刻/
終了時刻
発表者氏名 指導教員 論  文  題  目
10:00
12:00
鎌田 創 井頭政之
齊藤正樹
Se同位体のkeV中性子捕獲断面積の系統的研究
 長寿命核分裂生成物79Seの核変換処理研究において重要な79Seの中性子捕獲断面積の理論予測精度向上及び同位体分離を行わない核変換処理研究に必要となる全Se安定同位体の中性子捕獲断面積データの高精度取得を目的として、全Se安定同位体の中性子捕獲断面積と中性子捕獲γ線スペクトルを入射中性子エネルギー15-100 keVの領域及び平均550 keVの領域において測定した。測定結果を参考にして、統計模型に基づく理論計算によって全Se安定同位体および79Seの中性子捕獲断面積の核データ評価を行った。評価結果は測定値を良く再現し,79Seに関しても信頼性の高い評価結果を得た。

 

1月8日(金)  会場: 原子炉工学研究所 北1号館 1階会議室

開始時刻/
終了時刻
発表者氏名 指導教員 論  文  題  目
13:00
15:00
竹澤 宏樹 小原 徹
関本 博
低濃縮ウランを用いた原子炉励起レーザー発振実験用高速パルス炉心・未臨界熱中性子レーザーセル集合体結合炉の核設計に関する研究
 本研究では、発振実績を有する高速パルス炉心と未臨界熱中性子レーザーセル集合体からなる原子炉励起レーザー発振実験用結合炉に低濃縮ウランを適用した場合の核特性解析とそれに基づく炉概念提案を目的とする。核特性解析では初めに、積分型時間依存中性子輸送理論に基づく弱結合体系にも適用可能な動特性解析コードを開発及び検証し、本炉型での即発超臨界パルス動特性解析を行った。解析の結果、低濃縮ウラン適用時の本炉型の核特性及び、本炉型がレーザーセル集合体内において高濃縮ウラン適用時と同等のガス励起出力密度を達成することを明らかにし、低濃縮ウランを用いて原子炉励起レーザー発振実験を実現しうる原子炉概念を提案した。

 

1月8日(金)  会場: 原子炉工学研究所 北1号館1階会議室

開始時刻/
終了時刻
発表者氏名 指導教員 論  文  題  目
15:00
17:00
石田 真也 関本 博
小原 徹
ダイナミックプログラミングを用いた加速器駆動未臨界炉燃料シャッフリング最適化に関する研究
   ADSは一般に出力ピーキングが大きくなりやすい。今までは燃料組成の調整による多領域化によって出力の平坦化を行っていたが、MAを含む燃料製造の難しさから、運用面での負担となる可能性がある。本論文では、この問題を解決するために、シャッフリングによる出力平坦化を試みた。
 シャッフリングの検討の際には、場合の数の多さから膨大な計算量が必要となってしまう。本研究では、まず、この問題の解決のためにダイナミックプログラミングを用いた計算システムの開発を行い、現実的な時間内での解析が可能な計算条件を導き出した。次に、この計算システムを使用し、シャッフリングの効果やシャッフリングスキームの規則性について考察した。

 

1月8日(金)  会場: 原子炉工学研究所 北1号館1階会議室

開始時刻/
終了時刻
発表者氏名 指導教員 論  文  題  目
17:00
19:00
石橋 拓弥 服部俊幸
小栗慶之
低エネルギー・大強度重イオン加速のための2ビーム型IH-RFQ線形加速器に関する研究
 低エネルギーかつ大強度の重イオンを加速する場合、ビームロスを引き起こす発散力(空間電荷効果)が非常に強い。このような加速条件では、RFQ(Radio Frequency Quadrupole)線形加速器を用いて、いかにビームロスを防ぎながら加速をおこなうかが最大の課題となる。
 しかし従来型のRFQ線形加速器、1台を用いて加速・輸送できるビーム電流の限界値は約60 mAとされている。この限界値以上のビーム電流を生成するためには、新しい構造のRFQ線形加速器が必要となる。
 そこで本研究では、1台のRFQ線形加速器が2つのビームチャンネルを有する、2ビーム型IH(Interdigital H)-RFQ線形加速器を設計・製作し、ビーム加速実験によりその原理実証と特性評価を行った。