東京工業大学 21世紀COEプログラム 世界の持続的発展を支える革新的原子力
  原子力とは 原子力の必要性 原子力の問題点COE-INES ロードマップとは

5.そのためのロードマップとはどのようなものか?

CANDLE燃焼炉

濃縮ウランやプルトニウムを必要としない
簡単で安全な原子炉の開発

 

CANDLE燃焼法とは:

  一般の原子炉では、最初に原子炉に入れていた制御棒を、原子炉燃料の燃焼に伴い、ゆっくりと外に取り出していく。これに対しCANDLE燃焼では、このような制御棒操作は必要としない。図1に示すように、燃焼に伴い燃焼領域は、核種や中性子束や出力の空間分布を変えることなく、軸方向に出力と比例した速さで移動していくという、まったく新しい燃焼法です。

 
図−1. CANDLE燃焼

 

CANDLE燃焼法のメリット:

1.簡単で安全

  1.1.運転中に制御棒を間違って引き抜くような事故は起こりません。
  1.2.出力分布が変化しないので、運転はとても簡単で、信頼性が高い。
  1.3.新燃料は天然ウランか劣化ウランなので、輸送や貯蔵が安全で簡単。

2.核拡散抵抗性がとても高い

  原爆製造の最も重要な技術である濃縮や再処理を必要としない。

3.燃料の有効利用ができる

  天然ウランや劣化ウランを利用して、この40%を利用できる。
  これは軽水炉の50倍の利用効率である。
  40年間運転した軽水炉が残した劣化ウランで2000年もの間運転できる。      
  (図−2)

4.廃棄物の体積が少ない

  軽水炉の10倍燃えるので、発生エネルギー当たりの廃棄物体積は1/10。


図−2 軽水炉後のCANDLE燃焼炉利用シナリオ

ロードマップ:

CANDLE燃焼のメリットを活かし、COE-INESの目指す、持続性、安全、廃棄物、核拡散すべての課題を同時に解決する原子炉の実現を目指します。

 

(ロードマップ第 5 章  5.1.2  要旨)
(関本 博)