国のロードマップがそのミッションからして厳格にそれを守ろうとするのに対し、我々のロードマップは理想の実現のためのロードマップであり、柔軟に運用されます。理想の実現は硬直したシステムでは困難です。第 4 話で述べた自由な発想と全体を見通す目が要求されます。
ここではまずロードマップの概要を述べ、その詳細を見るための入口を紹介します。
ロードマップ概要
究極の理想的なエネルギーとしての原子力利用を目指して、第 4 話で述べた 4つの柱を立て 、 4つの問題 の革新的原子力による解決を図ります。
技術的な問題に関して
- 放射性廃棄物を一切環境へ放出しない方策(ゼロリリース)の研究を追及します。加えて、実質的には環境から隔離することになる地層処分などを含む方策についても研究します。
- 新しくウランを採掘する必要がなく、廃棄物も 10 分の1になり、平衡状態になると濃縮や再処理も不必要となるCANDLE燃焼炉の研究を推進します。
- 廃棄物の核変換やCANDLE燃焼では多くの中性子を必要とします。このため利用できる中性子の多い原子炉の開発研究を推進します。特に鉛等を冷却材とする高速炉の研究を推進します。
- マイクロチップを使ったミクロな再処理法を開発し、飛躍的に高効率な分離を目指すと伴に、コンパクトな再処理施設の開発研究を推進します。
- 核拡散抵抗性を物質の側から検討し、抵抗性の強いプルトニウム等に関して、広く研究を推進します。
技術的な問題だけではありません
- 本ロードマップは学生を含めた 若手研究者とともに進めていきます。人材育成は重要なテーマであり、自由な発想と全体を見通す目を持った真に役立つ将来のリーダーや研究者を育ててまいります。
- 地球環境問題は世界の問題であり、 国際交流を活発に展開します。アジアでのエネルギー消費の増大は今後大きな問題になると考えられます。特にアジアの開発途上国での原子力研究開発を大学としてサポートしていきます。
- 原子力は技術と人によって支えられています。近年原子力に限らず多くの組織で人の問題が生じ、マスコミを賑わせています。 SR( social responsibility ;社会的責任)を中心にこれらの問題について検討していきます。
- 社会の理解とサポートがあって初めて原子力平和利用の健全な発展が可能だと考えます。原子力利用の社会との共進を目指すとともに、ロードマップの作成においてもこの考え方を取り入れていこうと考えています。
ロードマップ案詳細内容への入口
作成されるロードマップの目次は下記のようになっております。ボタンをクリックしていただくと内容がご覧いただけます。
章 |
節 |
項 |
内 容 |
ロードマップ要旨 |
ロードマップ本文 |
1. |
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はじめに |
2. |
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概要 |
3. |
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重視すべき社会の受け入れ |

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4. |
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21世紀の展望 |

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5. |
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研究 |
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5.1 |
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革新型原子炉 |
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5.1.1 |
原子力パーク |

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5.1.2 |
CANDLE燃焼炉 |

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5.1.3 |
鉛合金冷却炉 |

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5.1.4 |
熱エネルギー利用システム |

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5.2 |
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革新的分離核変換システム |
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5.2.1 |
核変換 |

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5.2.2 |
分離技術 |

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5.3 |
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原子力と社会 |

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6. |
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原子力教育 |

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7. |
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国際拠点形成 |

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8. |
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ロードマップと提言 |

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ロードマップ本文全体のダウンロード |