東京工業大学 21世紀COEプログラム 世界の持続的発展を支える革新的原子力
  原子力とは 原子力の必要性 原子力の問題点COE-INES ロードマップとは

5.そのためのロードマップとはどのようなものか?

国際拠点形成

 今後予想されるアジア地域における経済成長はエネルギー消費の急速な増加をもたらすものと考えられ、地球環境をまもりつつ必要とされるエネルギー需要を満たすために、アジア地域での原子力エネルギーの導入は一層加速されることが予想されます。そのためにはアジア地域において原子力分野で優れた能力を有する人材が多数必要になると考えられ、原子力先進国である日本の果たすべき役割は一層重要になると考えられます。

  一方、最先端科学技術の教育・研究の分野でのグローバル化は今後も一層進展し、原子力分野においても最先端の教育・研究活動の世界規模での競争が激化することが考えられます。

 これらの状況と、これまでの東京工業大学 COE-INES 活動の成果をふまえて、今後原子力の教育・研究の国際拠点形成活動の進むべき方向を次のように考えています。

 

人材育成を軸とした国際活動

 原子力の教育・研究の国際拠点は、新しいものを生み出す研究開発の場であり同時にアカデミアの場でもあるべきです。今後の世界的な原子力開発の進展を考えたとき、このような拠点は、世界のリーダーとなりうる人材を多数輩出することが重要かつ強く期待される役割であると考えられます。このため拠点活動では、世界最先端の革新的原子力システムの研究開発を進めると同時に、原子力分野で世界的に活躍できる人材を育成する高度な大学院教育プログラムを積極的に開発・改良しこれを国際活動の軸とします。

 

アジアにおける拠点の形成

 人材育成を軸とした国際活動は、日本と密接な関係を持ち、今後急激なエネルギー消費の増加とこれに伴う環境破壊が懸念されているアジア諸国に対して特に重点を置いて行います。

  特にアジア各国の原子力開発のキーパーソンとなりうる人材の輩出に努めていきます。このために、アジア諸国からの大学院博士課程への留学生の積極的な受入れ及び教育、中堅クラス研究者の受入れ及び革新的原子力システム開発をテーマとした共同研究の実施等を推進していきます。さらに、これらの活動によって構築した人材ネットワークを活用した定期的な情報交換・交流を推進し、拠点及び各国の人材双方の活動の発展を図っていきます。

 

世界における国際拠点の形成

 今後拠点において革新的原子力研究を推進して最先端の研究成果の積極的な情報発信を行い、最先端研究の情報発信原として活動を行っていきます。

 さらに、原子力分野において世界の最先端教育・研究を行っている大学とも連携し、拠点における大学院博士教育の一層の向上及び世界のリーダーとなる人材育成のための教育活動を行っていきます。

 原子力分野における教育・研究の拠点での国際活動はますます重要性を増すものと考えられます。今後「人材育成を軸とした国際活動」「アジアにおける拠点の形成」「世界における国際拠点の形成」を中心に積極的に国際拠点形成活動を推進してまいります。

(ロードマップ 7 章 要旨)
(小原 徹)