1.革新型原子炉システム(利用システムを含む)の概念構築とそれに必要な基盤技術研究:
■現在まで原子炉開発はスケールメリットによる経済性を追求して大型化路線を進んできたが、建設用地問題等で行き詰っている。また発電以外に水素や海水脱塩等の需要が出てきた。このため今後は消費地である都市に近接した原子炉が重要となる。一方21世紀のエネルギー消費量は一段と増加すると考えられている。この増加の殆どは開発途上国によるものである。このため開発途上国用の原子炉開発が喫緊の課題となっている。これらの炉には核拡散抵抗性や高度の安全が要求される。これらの要求を満足する原子炉を開発するため小型長寿命原子炉を中心とした研究を行う。更に具体的には東工大で既に実績のある鉛ビスマス冷却高速炉、炭酸ガス冷却高速炉、高温ガス炉等について研究を行う。鉛ビスマス冷却高速炉に関しては既に学会に研究専門委員会ができ、東工大はこの世話をしているので、これを活用する一方、既に密接な関係を有している米国,ロシア,EU,韓国,インドネシアとの協力を続けることにより、世界及び国内を良く見た研究を実施していく。具体的な研究テーマとしては鉛ビスマス腐食実験、リフトポンプ試験研究、水蒸気注入実験、ポロニウム研究、設計研究(安全性、核拡散抵抗性、廃棄物特性、経済性、目的適合性)等を行っていく。また炭酸ガス冷却高速炉に関しても既に設計研究や超臨界炭酸ガスの研究の蓄積があり、これをもとに同様の研究を進めていく。また理想的な長寿命燃焼法として東工大よりCANDLE燃焼が提案されているが、先に挙げたような原子炉に対してこの研究を進めていく。発電以外の利用に関しては、近年になり特に重要性を増してきた水素製造を中心に研究する。
2.高レベル廃棄物消滅を指向した革新的分離核変換システム概念構築とそれに必要な基盤技術研究:
■この分野も既に国際協力を広くおこなっており、国内の研究機関とも情報交換を緊密に行っている。これを利用して世界及び国内を良く見、大学に相応しい未来を志向した研究を実施していく。
■核変換技術に関しては特に萌芽的な技術及びシステム構築に力を入れる。具体的には、アクチニドとFPの断面積の測定と評価、アクチニドとFPの消滅特性、核変換に必要な中性子源(高速炉、磁場閉じ込め型核融合炉、慣性核融合炉、加速器未臨界炉)について研究する。
■核種分離技術に関しては特に萌芽的な技術に力を入れる。具体的には分離メカニズムの量子レベルでの検討、容易で安全な分離技術(マイクロチップを利用した分離システムやマイクロ化学反応システムの開発)、反応性プラズマによる分離技術、分離係数を高めた分離技術といった研究を行う。
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